バックキャスティング思考によるショー構成
特筆して新しい話ではなく、プロマジシャンとして活動している人なら当たり前の話かもしれません。
アマチュアやセミプロとして活動していて、
本格的にアドバイスをしてくれる人が近くにいない場合に、
参考になるのではないかと思っています。
※バックキャスティングってなんやねん!という方は↓の記事が参考になります。
ショー構成を作る方法はざっくりと2つのアプローチに分けることができると考えています。
①:フォアキャスティング的構成方法
フォアキャスティングとは、現在を起点として未来(目的/目標/ゴール)に至るプロセスを考える思考アプローチのことを指します。
ショーの構成方法に落とし込むなら、
これまで練習してきた演目、今できる演目を起点として、構成を考えていく方法です。
4Aプロダクションができるから、
まず、プロダクションする。
出てきたAを利用した方が流れが良いから、
エースアセンブリ。続いてコレクター。
コレクターをやると4Aの他に4 of a kindが出せるから、
続いて、リセットをやろう。
といった具合で構成を作っていく形です。
「具体」から「抽象」へ昇華させていくようなイメージでも良いかと思います。
②:バックキャスティング的構成方法
バックキャスティングとは、未来(目的/目標/ゴール)を起点として、必要なタスクを考える思考アプローチのことを指します。
いわゆる"逆算して考える"というやつです。
どんなショーにしたいのか。
ショーを観て、何を感じて欲しいのか。どう思って欲しいのか。
感情の起伏、盛り上がり曲線はどうしたいのか。
そのために、どんな演目をどの順番でやるべきなのか。
という順序で考えることになります。
下記の2018/11/11に開催した個人ショーの際には、②番目の方法でショー構成を作りました。
もうこの際なので、どう作ったのか、ざっくり晒すとですね。。。
STEP0:ショーを観終わった人から「素敵だった」「良いものを観た」とご評価頂くことがゴール
STEP1:先ずは構成の大枠。この時は「起承転結」
STEP2:起、承、転、結のそれぞれでどんな演出がふさわしいか。
起→これから始まるショーに対するワクワク感
承→ごく普通のやりたいテジナ。良作を。
転→変わり種。「承」の部分とは違う自分の一面を提示する。緩急でいうところの緩に相当させる。
結→「素敵」「良いものを観た」という感想をいただくに最も近い、自分が持ちうる最高の"アクト"
STEP3:それぞれにできる作品とふさわしい現象を当てはめていく。
起→挨拶がてら。素早く、ちょっと不思議なことをしたい→エニーカードやろう。
承→自分の良作。ブランク手順やホフジンサーエースプロブレム。
転→誘い文句(←ちょっとふざけ目の作品です)、会場みんなでやる数理マジック
結→Suit Apparition
という感じで作りました。
厳密に言えば、STEP3あたりからは、フォアキャスティングに切り替わっている形ですが、
エニーカードと数理マジックは自分のレパートリーには持っていなかったので、新規で準備しました。
さて、ここまでお読みの方ならなんとなく勘付かれているかとは思いますが、
大抵の場合、ショーの構成方法はバックキャスティング起点でやるべきだと、私は考えます。
※マーケティング用語を使うのであれば、
「プロダクトアウトじゃなくて、マーケットインだ!」というやつです。
メリット1:ショーの目的がまず明確になる
メリット2:観客の経験について、ちゃんと考えるプロセスを踏める
メリット3:実現したいショーに対して、今の自分に足りない演目に、自分で気づくことができる
メリット4:既存演目の、これまでとは違った演出を考えるきっかけにもなる
などなど、、、、
1、2なども良いメリットなのですが、
アマチュア/個人で活動しているのであれば、なかなか本格的なアドバイスをもらえる機会も少ないかと思いますので、
3、4番のように、自分自身で気づくきっかけを、自分で作ってあげることができるというのは結構良いなぁと、私自身感じています。
アマチュアこそ、演出ありきで、バックキャスティング思考を利用して、
ショー構成/手順構成をしましょう。
◆まとめ
手品ありきでショーを構成していくのは、フォアキャスティング/プロダクトアウト。
ショーの目的/演出ありきで構成していくのが、バックキャスティング/マーケットイン。
後者の方が、良いショーを作りやすいし、自分自身の気づきにもつながりやすいので、おすすめかなぁ。