Cardician's Blog

映画鑑賞のようにマジックを楽しむ習慣を

伝わらなければ全て無価値

今日、こんなTweetを見かけました。

 

 

純粋な感想として、すべてのバーがこうなるわけはなく、

エンタメ系に振り切っているバーに限定された話で、

そういったバーでは、こういうパフォーマンスが増えてくる可能性はあるなーとは思いました。

(今更感ありますが)

 

一方で、オーセンティックなバーでは、

こういったパフォーマンスで店内が騒がしくなると、

静かな空間が好きな人にとっては居心地が悪くなってしまうので、

大々的に行われていくことはないだろうと思っています。

 

すべてのバーがエンタメ系に振り切ったほうが良いのであれば、

ジャグリングしながらお酒を作るフレアを演るお店がもっと増えると思いますが、

個人的にはフレアで作るよりも、普通に作ったほうが、美味しいと思うんですよね。。。

(味という一つの尺度で見ると)

 

とはいっても、人間の味覚で知覚できる限界はあって、

一定以上のクオリティになると、

"味"という尺度に限定すれば、

普通に作るのと、フレア的なパフォーマンスをしながら作るのとでは、

優劣が(人間の味覚的に)つけられなくなり、

差別化が難しくなります。

 

どれだけ素晴らしいお酒を作ろうとも、

その価値をお客さんが知覚しなければ、意味がない。

 

だからと言って、

美味しいお酒を作ることを放棄するのは、

商売人としては賢いかもしれませんが、

職人としてはダサいなと思います。

 

問題は、どうやって、価値をお客さんに知覚してもらうか。です。

 

そこで、、、

マーケティングの世界には、「知覚品質」という概念がありまして、、

 

◆知覚品質とは?

 

知覚品質とは、、グロービスでの定義はこちらです。

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知覚品質とは、消費者がある製品やサービスを、各自の購入目的に照らして代替品と比べた際に知覚できる品質や優位性のこと

mba.globis.ac.jp

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なんだか難しいですが、

「価値を知覚するための代わりとなる尺度」

として解釈しておけば良いかと考えています。

 

価値は知覚されなければ、意味がない。

というものです。

 

ドライヤーから、目に見えないイオンが出ていることを知覚させるためには、

出口に青いライトでも光らせたほうが、何の反応もないより良かったり、

車の馬力を感じさせたいのであれば、わざとサスペンションを固めにして、振動を強めたほうが良かったり。

 

価値をちゃんと顧客に伝える仕掛けが重要です。

 

 

オーセンティックなバーの場合、

「今自分は良い酒を飲んでいるんだ」ということが知覚できるように、

店内のインテリアや照明、小物に気を配ったり、

店員さんにやたらと清潔感をもたせたりする構図です。

 

グラスが汚かったり、大衆居酒屋のような騒がしさがあると、

全く同じお酒だったとしても、知覚する側が「良いお酒」とはなかなか思えない。

 

 

こうなると、

サービス業において知覚品質を高めるためには、

細部までこだわってトータルコーディネートをすることにより、

その体験の全体感を意図したものに仕向ける必要がある。

という解釈もできるのかなと思います。

 

確かにディズニーランドも、

細部までこだわりつつも全体のコーディネートを徹底していますね。

 

◆つまりマジシャンも一緒。

 

マジックの上手い/下手は、ある一定のレベルを超えると、お客さんは判断できない。

 

自分が上手いということを伝えたいのであれば、

それを伝えるための知覚品質を盛り込む必要があります。

 

が、

プロマジシャンはマジックがうまいのは当たり前で、

+αの何かがないとだめ。とはよく言いますね。

 

なので、手品が上手い下手という初歩的なレベルの話ではなく、

自分が思う自分の価値や、繰り広げるショーの価値や感じて欲しいこと。を主眼において、

それらをお客さんに知覚してもらうためには、

手品だけを練習しておけば良い。とはならない。

 

身なり、服装、風貌、言葉遣い、テンション、使う音響に、

使う道具、会場の雰囲気、来ているお客さんの雰囲気、スタッフのクオリティ、

などなどなどなど。

 

配慮すべきことは多岐に渡るなぁと思いました。

 

 

そのほか、シグネチャーアクトを持つことの重要性も、もしかしたら、

自分の存在意義の知覚品質として機能するから。

ということなんじゃないかと思い、

僕のSuit Apparition、今後も育てて行こうと思います。

 

いやー。一つの作品にずーっと向き合っていくのも楽しいですね。

もっと良い演目にします!

 

それでは、またっ!