この考え方では独自性が消えるのではないか。
多くの人にウケるものを作りたい。ウケることをしたい。
多くの企業、多くの人が思っていることだと思います。
いかに多くの人が買ってくれているのか?
この尺度のことを、「市場シェア」と呼びます。
一般的に「シェア」という言葉を使う場合、この「市場シェア」のことを指すことが多いでしょう。
「市場シェア」とわざわざ命名しているぐらいですから、
対極にある「シェア」の考え方もあります。
それは「顧客シェア」と呼ばれています。
いかに多くの人が買ってくれているのか?ではなく、
その人がいかに多く買ってくれているのか?を目指します。
その人の財布のうち、どれだけの金額を我々が占めているのか?という考え方と一緒なので、
別名、「ウォレットシェア」とも呼ばれます。
顧客シェアは、単発の取引をする人を増やそうとする市場シェアとは対を成し、
特定の人と何度もたくさん取引をしようという、関係性の維持/強化を目的にします。
具体例を挙げます。
Aさんが年間にコーヒーに支払う金額のうち、
BOSSに対して支払っている金額を100%にしよう!
という考え方が顧客シェアです。
さらに、Aさんが年間に"飲み物"に支払う金額のうち、
BOSSに対して支払っている金額を100%にしよう!
という捉え方もできます。
これを目指すのであれば、BOSSはコーヒー以外にも製品・サービスが必要になるわけです。
が、それを目指した場合、
ただの水や、お茶、お酒などにも手を伸ばす必要が出てきて、
一体全体BOSSは何屋なのか不明確になります。=ブランディング失敗
つまり、分母をどれだけ広く"適切に"捉えるかによって、
当該ブランドが取り扱うべき製品・サービスの種類は変わり、
継続的なリレーション構築のための、マーケティング施策などが必要になってくるわけです。
◆それぞれのメリット/デメリット
・メリット
市場シェアの向上を目指すメリットはもちろん、多くの人に知ってもらい、買ってもらえること。
つまりは売上の拡大です。
顧客シェアの向上を目指すメリットは、
既存顧客をロイヤルユーザーにするため、
今の製品・サービスでは足りていない打ち手は何か?
今後、どのような製品・サービスを繰り出すべきか?の示唆を得ることができます。
・デメリット
市場シェアを偏重した場合、
いかに多くの人にウケるか?を目指すわけですから、
どんどん万人にウケるような平凡な製品・サービスになっていきます。
市場の多くの人が求めていることは、おそらく競争相手も気づいていることなので、
競争相手同士での同質化が進み、独自性がどんどん無くなっていくことになります。
「万人ウケする」=「誰にも刺さらない」
だと思います。
顧客シェアを偏重した場合、
そのブランドの愛好者は一定数獲得できると思いますが、その分、嫌いな人も増えるでしょう。
絶対的な顧客数が少ないため、事業を拡大することは難しいかもしれません。
◆独自性を担保したまま、拡大路線に行くためには
簡単な話です。
1:顧客シェア志向により、製品・サービスアイディア量産。(囲い込める手段の準備)
2:1番で出したアイディアを水平展開して、多くの人にウケるようにする。
2番の段階で、どれだけアイディアの角をとるのか。はそのブランド次第でしょう。
重要なことは、
市場シェアだけで考えるのではなく、
前段に顧客シェア向上を目指してみることで、
当該ブランド構築に必要な打ち手のアイディアを出す。
質的に発展させた上で、水平展開して、量的に成長させる。
ということです。
※大学時代の研究室で学んだことです。
◆Toマジシャン
マジシャンの場合、顧客シェアを大事にしよう!というよりも、
市場シェア偏重にならないように気をつけましょう!という方がしっくり来ると思います。
誰にでもウケる。
これを目指すと、差別化が難しくなると思いますし、おそらく達成は不可能。
顧客シェアを考えるということは、
自分の理想のお客さん像を考える。ということと同義。
自分のパフォーマンスはどんな人に買ってほしいのか。
が定まっていないと、
どんな演目を増やしていくべきなのか。を定めることが困難。
僕の場合、記事にも書いたとおり、
マジックは知的好奇心の喚起にこそ価値があると考えているので、
知的好奇心がある程度ある人。をメインターゲットとして、
そんな人が楽しめるような演目を作っていっています。
なので、小さい子供/知的好奇心を放棄した人、
に対する演目は正直、準備してないです。
強気なセグメンテーションで、賛否あるとは思いますが、、、、笑
マジックだけで生活しているわけではないので、
できるセグメンテーションだと思います。
僕のマジックに対する考え方については、下記の記事を参照ください。